愛犬のためのペット保険【FPCペット保険】



昭和の傑物、笹川良一の話をします。
笹川良一と言っても、若い方は分からないかも知れませんね。
明治32年生まれと言うことなので、戦前の人になります。
平成7年に亡くなっています。
私が中学時代に、日本船舶振興会のテレビのCMに出演してましてよく見かけました。
子供達と一緒に出てて『火の用心・人類みな兄弟・一日一善!』と叫んでいた小柄なお爺ちゃんでした。


このお爺ちゃんの事はあまり気にもしていなかったのですが、高校時代の国語の先生が授業中に、「あの笹川良一というお爺さんは、善人のような顔をしてテレビに出で一日一善!と言ってるけど、本当は恐ろしい人なんですよ」と言ったことがありましてね、その時は「ふ〜ん・・・」と思って聞いていたのですが、その後社会に出て、いろいろと世の中のことを自分なりに勉強していく中で、ちょくちょく名前を見かけるようになって来ました。

笹川良一が42歳の時に大平洋戦争が始まっていますので、完全に戦争経験者です。
何をしていた人かと言うと、衆議院議員から始まって、国粋大衆党総裁、最終的には財団法人日本船舶振興会(現・公益財団法人 日本財団)会長と言うことで、政治家、社会奉仕活動家 と言うような肩書きを持っています。
国粋大衆党と言うのは右翼団体で、笹川が立ち上げた政治結社です。
日本船舶振興会会長・・・早い話がバクチの胴元です。
実に複雑な人です。
お金儲けがとても上手な人でした。
さらに愛人が沢山居ました。その数、最高の時で70人とも言われます。

近頃は、このような種類の人が居ないですね。
世間からは、日本のドン とか 右翼の大物 と呼ばれたりしてました。
CIAエージェントであったと言う話もあります。
あの政界の黒幕と呼ばれロッキード事件で逮捕された児玉誉士夫の親分です。

こんなあくどい人のことを何故話題にするのか?と言うと、戦後、世界支配層が日本を支配するために、教育を変え法律を変え社会のシステムを変え人々の意識を徹底的に変えようとしたのは、ひとえにこの笹川良一に代表されるような『猛気』とも呼ぶべきほどの気迫をぶっ壊したかったからだと思うわけですね。
今の、この停滞して行き場を失って八方塞がりのようになっている日本社会には、笹川良一が持っていたバイタリティ、気迫こそが必要だろう と思います。

笹川良一と言えば、あの東條英機に説教をした人物としても有名です。
大平洋戦争終結後、東條英機をはじめとして軍部上層部の人達は、各級戦犯として巣鴨プリズンに収監されました。
その状況を見ていた笹川は、わざわざ連合国軍の面前で連合国を批判するような罪を犯して逮捕され、A級戦犯者として自ら巣鴨プリズンに収監されます。
当時、巣鴨プリズンには日本社会の中の蒼々たる面々が収監されていましたが、そこで人脈を築き上げました。
そして、飛ぶ鳥をも落とす勢いの東條英機に対して、『あんたの死刑は確実だろうから、今更 命乞いをしてはならん・・・・』などと、説教をしたと言うことです。
また、看守の迫害にも一向にめげることも無く、収監者にとって劣悪な状況であったプリズン内の環境の改善にも務めたと言うことです。
後日、笹川は、「巣鴨プリズンは人生最高の大学だった。娑婆の二十年、三十年分の勉強になった」と語ったそうです。

当時の彼の信念は次のようなものです。『日本は親米反共の道を進むべき』『日本人同胞を餓死から救うべき』『世界平和を確率させるべき』。
児玉誉士夫もそうですが、社会を変革しなければならない と考えていたようですが、あくまでも資本主義・自由主義であって、共産主義ではなかったのです。
だから親米派だったので、CIAエージェントであったとしても不思議ではありません。

私流に彼を解釈すると、とにかく剛胆で決断力と行動力が優れていて生命力が旺盛であったのだろうと思っています。
作家の川端康成と同郷で同級生でした。
川端康成の方は、東大卒業の優等生で晩年には自殺して人生を終えました。
一方、笹川の方は大変なガキ大將で、笹川が子供の頃、学校の先生達は「笹川に教養を身に付けさせると、将来は日本を潰すようなとんでもない人間になってしまう危険性があるので勉強させるな」と言って勉強させないようにしたそうです。

また、自分の欲望に極めて忠実であったようです。
これは、悪党と呼ばれる人達の特徴なんだろうと思います。
憎まれっ子 世に憚る・・・・・
お金儲けがとても上手でした。
彼は株式投資で儲けることが上手かったようです。
笹川には株式投資に関して、興味深いエピソードがあります。

笹川が株式投資をやり始めたのは、彼の傍に既に株式投資をしていた人が居て、それを見ていて興味が湧いたからだそうです。
その人は、経済社会や会社のことや法律や会計のこと等にとても詳しくて物知りで頭が良くて、その人を先生として株の手解きを受けたそうなんです。
ところが、良く良く見ていると、その先生は株で儲けるどころか、結構 損失を出していたみたいなんです。
こんなに何でも良く知っていて頭の良い人なのに、利益を出せずに損を出しているのか?
株というものは不思議なものだな〜 と思った笹川は、それでは先生のやっていることと全く逆の事をしたら、その分儲かるのではないか?と、思い至ったそうなんです。

そこで、ある時に、その先生に教えて貰ったことは全部忘れて、ただただ先生とは真逆の事、「先生、あんた今、どんな具合にやっとるんや?」と質問して、もし「A株を10,000株売ったよ」と言われれば、自分はA株を買って、「B株を10,000株買ったよ」と言われれば、自分はB株を売って・・・
と言う具合に全く逆の事をしてみたら、大変儲かったと言うんですね。
彼が株式投資で成功するようになり始めたのは、どうもその辺りからみたいです。

株式投資は人生の縮図と言われますが、なかなか参考になります。
どこそこの株 どこそこのゴルフ会員権が上がるかも知れない・・・・と、皆が言って買っているのを見て、自分も慌てて買いに走る・・・・このような事では全く話にならないようですね。
株でも人生でも、皆が右へ向かっていったら、自分は一人で静かに左に向かう・・・・
このようなやり方が必要なんでしょうね。
大衆が「それが良い!」と言ったら、それはあまり良くないんですよ。
大衆が、眉を潜めて「え〜?? それはダメなんじゃないか〜??」と言ったら、それこそ検討してみる価値が十分にあり と言うことです。
笹川は、おそらく非常にこの辺りの機微に富んでいたのではないか と思われます。

政治というものには、お金がかかります。
だから政治家の人達は、資金の調達に苦労します。
企業や人々から献金を得なければやってはいけません。
だからどうしても、多額の資金を寄付してくれるスポンサーの意向に沿う と言う状況が出来上がって来ます。
お金がかかるシステムになっているのに、法的規制もまた沢山作られています。
今の法律では、鳥の羽を縛って、さ〜飛び立て!! と言っているようなものです。

さて笹川の場合は、株式投資でお金を稼ぐのが上手で他者からの献金に頼る必要はありませんでした。
すべて自分で賄い切ったようです。ですから、他者の意向に沿う必要は全くありません。
また、政治家の場合は、選挙民達から票を得なければならないので、当然、選挙民達の意向に沿って謙虚に振る舞う必要もあるでしょう。
選挙民達も、あの政治家は謙虚である とか 態度が傲慢である とか判断したりします。

しかし笹川の場合は、衆議院議員であった頃は別にして、その後は右翼団体ですから、民衆に対する遠慮会釈など全く必要ありません。好き放題やりたい放題です。
当然、周囲にはあれくれ者も沢山いたし、やくざ組織の親分みたいな存在なんですが、本人としては、日本を豊かにする為に多額の資材を投入してお国のために頑張っている と言う感覚です。
右翼団体とは言っても今のようなチンピラ右翼とは違います。
ただ当時は、みんな戦争経験者ですから、腹の据わり方はやはり今の時代とは違いますけどね。

英雄、色を好む と言いますけど、笹川の場合も例外ではなく、桁外れの女好きだったようです。愛人の数は70人とも言われ、有名どころとしては、ピンクレディのミーちゃん、浅野ゆうこ、由美かおる なども名を連ねていたようです。
情には非常に深く、女性にはモテたようです。

さて、このような状態の人は世間から見れば、大悪党となります。
しかし、平然と破天荒な人生を謳歌していた・・・・・ある意味、やり手と言えばやり手、桁外れに生きると言うことを満喫していたとも言えます。
人々がこのようなタイプの人を悪党呼ばわりする時は、そこには多分にその人に対する嫉妬心が見え隠れしています。自分には出来ないことを平然とやっている事に対する嫉みです。

私も、笹川良一には会ったこともないし、彼のような猛気に満ちた人のことをとやかく吟味できるような人間でもないのですが、自分なりに分析してみます。
おそらく、彼は、人生に何が起きても、物事を不安がったり、また心配したり と言うことがあまり無かったのではないか と思います。
失敗するのではないか? とか、フラれるのではないか? とか、などと言うことは全く考え無かっただろうと思います。
不安とか心配とか恐怖などという言葉ほど、彼に似合わない言葉は無いような気がします。
自信家であると言うこともあるでしょうが、そう言った事に対して無頓着であった・・・・ある意味、鈍感であった とも言えるのではないでしょうか。
この世で一般に善人と呼ばれるような人々は、小心で常に遠慮深く、心配性で、他人の目・気持ちが気になり、良く見られたい、良く思われたいと思って行動しているものです。

いわゆる悪党と呼ばれる人達はその逆です。

近頃、本屋さんへ行くと、アルフレッド・アドラーさんの本が沢山並べてあります。
アドラーさんは自己啓発の父と言われる心理学者です。

このアドラーさんの教えを取り上げた本で『嫌われる勇気』という本があります。
この本の帯に『自由とは人から嫌われることである』と言う言葉が書いてあります。
これは非常に興味深い言葉です。

私達は往々にして、人から好かれたい 良く見られたい、良く思われたい と思っています。そしてその思いによって、自分の本心を偽り、行動に制限をかけているために自由に振る舞うことが出来ていません。実に不自由な状態にあります。
それは自分でそうしているんです。自分で自分に制限をかけている。
だから、人から嫌われても良い と思った途端にその制限から外れますので、自由に振る舞えることになります。
人間本来、自由な存在なんですが、他者の目を気にする余り、自ら自分自身を不自由な状態に陥れています。
笹川良一のような人は、おそらくその様な傾向が少ないのではないか と思います。

人が自分をどう見ているか? こうしたら人から笑われるのではないか? こういった心配はおそらく無かっただろうと思いますが、これはある意味 鈍感とも言えます。
渡辺淳一先生の本、『鈍感力』を思い出します。
人間は、仕事においても、家庭においても、恋愛においても、あまり物事を考え過ぎない方が良い 鈍感が良い 何事も心配しない方が良い と言うことですね。
これはよく言われることですが、現実の世界は自分の心の中にあるものを引き寄せてしまいますので、心配や不安や恐怖が無ければそのような結果を引き寄せることはありませんから。
笹川良一を見ていると、まさに今の世で言われている、自己啓発や引き寄せの法則のプラスの部分をそのまま体現しているように思えますが、同時にまた、あのような人間にはなかなか成れない とも思ってしまいますね。

ヒマラヤの聖者方も言われていることなんですが、心配や不安という感情に振り回されることが非常に人生にはマイナスになってしまうわけです。
人々の人生は、今はどのような状況であろうとも、いずれは良い方向へ向かうことに決まっていると言うんですね。
人生ですから、いろんなことがあります。いろんな経験をしなければならないですから。
そのような負をカルマを背負った魂が地球に降りてますから。
しかし、いわゆるトラブルを経験することによってそのカルマは消えていっているわけです。
だからその後は、良い方向へ向かおうとしているのに、そこで人々は心配や不安と言う感情を待ち出して来て、その後の人生に良からぬものを引き寄せてしまっている と言うことなんですね。
だから、私達がすべき努力というものは、とにかく出来るだけ、心配しない 不安がらない 何とかなると楽観的に捉える 鈍感になってあまり考えすぎない 人の目を気にしないようにする と言うことになるでしょうか。
笹川良一の場合は、あまり努力をしなくても、生まれつき心配性や不安などの性向を持ち合わせていなかった と言うことでしょうか。
私はあえて『悪人力』『悪党のすすめ』という言葉を使いたいと思います。

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