『アンドロイドレディのキスは甘いのか』
近頃は、未来の社会情勢を読み解く為に人工知能(AI)関係の本を読み漁っています。
前回オススメした『人工知能と経済の未来』は、経済学者が未来の経済的命題である雇用という観点から書いたものですが、今回は、黒川伊保子先生というAIエンジニアが書いたものです。
この二冊は、本当に超オススメで、AI問題を考えることは人間の存在の本質そのものを論じることに繋がっていきます。
前回の本で行くと、将来的には、仕事のほぼ全てはAIが行うことになりますので、人は仕事をしなくなります。
従って、仕事をして給料や報酬を貰って生活をするという状況は成り立たなくなってしまいます。
井上先生は、仕事とは無関係のベーシックインカムという年金のような制度を作って、全ての人に支給する というシステムを導入すればユートピアを築けるが、そのような手を打たなかった場合には、社会が破滅状態になってしまう という主張をされてます。
井上先生は、政府との研究会にも参加されているので、安倍政権としても、こういったことは当然念頭にあると思われます。
また、今はこの問題をしっかり推し進めることが政治の仕事であると思います。
今までの社会では、人は、いろんな分野で優等生であることを目指してきました。そして、優等生であればあるほど、社会の役に立つことが出来て価値あるものとされる。
将来、人や社会のお役に立つために、今、一生懸命勉強なり努力をしなければならない・・・・
しかし、その考え方は、ただ生きていることそのものが素晴らしい・・・という考え方に真っ向から対立するものです。
将来、優等生であるために、今、命を燃焼するという貴重な瞬間を将来の犠牲にしている・・・・
AIが登場してきた暁には、優等生、社会の役に立つという観点からすれば、人はAIの足下にも及びません。
私達は否応なしに、真に価値あるものとは何か?を追求しなければならなくなります。
今回の『アンドロイドレディのキスは甘いのか』の著者である黒川先生はAIエンジニアですが、AIはあくまでも人の大脳を手本に作られると言います。
今の社会の仕事をするような能力については、AIの最も得意とする分野なので、人の脳はAIには絶対に勝てない・・・・
そもそも人の脳の価値は、全く別の所にあると言われます。
今の社会では、人は、本来為すべきこととは全く違うことに捕らわれてしまっている・・・
これが、これから正されるのです。
乳児には体内記憶があり、さらに体内に宿る前の霊的な次元の記憶もある・・・・
これらのことを黒川先生は、「脳の最初のひとしずく」と呼んでますが、これを今の科学では、AIに組み込むことは出来ない・・・
この点において、AIは人を超えることは出来ない と言います。
これからは、今までないがしろにしてきた非常に重要な命題・・・命とは何か?この事に人は真剣に向き合わなくてはならないようです。
もう、今までのような仕事や勉強にうつつを抜かしていられるような状況ではありません。
この社会には、大衆感性の56年周期 と言うものがあるそうです。
社会の感性トレンドは56年ごとに巡っている、これは人の大脳のリズムなのかも知れません。
例えば、1960年、岸信介が総理大臣になり、日米安保条約改定に手を付け、安保闘争が始まり過激派・赤軍派の学生運動が暴走し世はバリケードの時代でした。
それから56年後の2016年・・・・
岸信介首相の孫である安倍晋三氏が首相に就任し、集団的自衛権に手を付けて久しぶりの激しい市民デモが勃発しました。
さらに、1960年は東京タワーが東京の空にそそり立ち、東京オリンピックは4年後に迫っており、さらにその先には大阪万博があり松下幸之助が週休二日制を提唱していました。
それから56年後の2016年は、スカイツリーが東京の空にそそり立ち、東京オリンピックが4年後に迫り、大阪万博の話で出て、ヤフーが週休三日制を提唱しました。
さて、1960年から始まる10年間は、世界中が宇宙開発に向けて科学を大躍進させた世紀でした。
アメリカではケネディ大統領が誕生し、アメリカの流れを変え、アポロ計画を提唱し人類は月へ旅立ちました。
僕も、まだ子供でしたが月から送られてきた映像をテレビで見ました。
しかし、宇宙飛行士達は、月に飛び立ったものの、結局のところは、皆一様に、改めて地球に出逢ったのです。地球の美しさ、素晴らしさ、偉大さに初めて気付き、地球に帰って来たのです。
その後、宇宙飛行士達の意識は変わってしまいました。
それから56年後の2016年から始まる10年間・・・
アメリカではトランプ大統領が登場し、流れを大きく変えつつあります。
そしてこれからは人工知能開発によって、科学は大躍進を遂げると思います。
今までには全く考えられなかった未来が待ち受けているものと思われます。
行き着くところまで行き着いた時・・・しかし、人々は今回もまた、自分達の大脳に出逢うことになるだろう・・・
大脳の美しさ、素晴らしさ、偉大さに初めて気付き、意識が変わることと思います。
人工知能の探求は、人の存在そのものの探求へと繋がって行ってます